歴史の変わる時を見た

Ice Hockey

ここに1枚のチケットが有ります。
Playoffticket
このチケットが歴史が動いた瞬間を見た証であり、一生大切に保管するチケットです。
その歴史が動くまでを少し振り返ってみたいと思います。


もともと日光神戸アイスバックスは日本で最も歴史の有った「古河電工アイスホッケー部」が企業の業績不振から廃部となり、残った選手・スタッフを母体に市民が運営するプロクラブチーム「日光アイスバックス」として発足したチームです。
しかし収入源がユニフォームの広告と入場料収入、グッズの売り上げなどしかなく経営状態はいつも悪いままでした。事実一度赤字を精算できず運営会社を解散→再設立という苦境を経験しています。経営はいつも火の車ですので選手の補強はままなりませんし、助っ人外国人も他チームのように大物を呼んでくる事などは出来ず今年などは外国人枠2名のうち1名しか使う事が出来ずしかも成績不振や運営資金繰りの悪化から途中で契約を打ち切ることになりました。そのためシーズン中盤からは純日本人チームとして戦う事になりました。
また経営環境が悪いため選手の待遇も必然的に他チームに劣るようになってきます。給与の遅配は当然の事になり、食事や宿舎の質もプロチームとは呼べないほどの状況にまで落ちてきます。そんな状況に素質や能力のある選手は他チームから声がかかるとアイスバックスを「卒業」してゆく事も多く、更なる戦力の低下を招いているのが実情です。
それでもアイスバックスに残ってプレイを続けるのはチームへの愛とアイスホッケーを続けたいと言う情熱があるからです。それを知っているファンは手が痛くなるまでメガホンを打ち鳴らし、アイスバックスを声援するのです。
しかしチームの成績は前身の古河電工時代から決して良い事はなく現在のアジアリーグアイスホッケーの前身である日本リーグアイスホッケーが始まってからはずっと最下位の常連であるようなチームでした。アジアリーグになっても同様でやっと昨年、アジアリーグを6位とは言え18勝18敗2引き分けの五分の成績で終えて初めてプレイオフに進出できました。今シーズンも戦力の差はいかんともしがたく、今年のレギュラーシーズン34試合を12勝21敗1引き分けの6位でプレイオフのボーダーラインギリギリで通過します。
一方、今回のプレイオフファーストラウンドの相手である王子製紙アイスホッケー部は日本リーグ時代には優勝経験もあり、アジアリーグになってからは優勝こそ有りませんがいつも優勝候補の一角に上げられるようなチームです。今シーズンも古豪復活を旗印に20勝10敗4引き分けでレギュラーシーズンを終えます。
当然下馬評は王子製紙絶対有利で王子の3連勝もあり得ると言う声があちこちで上がっていました。選手・スタッフもまずは1つ勝利を挙げて、ホームの日光で試合が出来れば良いという気持ちだったと思います。しかし前哨戦となったアイスホッケー全日本選手権の3位決定戦で両チームがぶつかると3 – 3の時間切れでゲームウィニングショット戦で敗れると言う健闘を見せます。これで選手の心にわずかですが自信の灯がともったのでしょう。
プレイオフの初戦を91分と言う日本アイスホッケー公式戦最長の試合#18 辻選手のサヨナラゴールで決めると、2戦目こそ敗れますが3戦目を4点有ったリードを残り7秒で1点差まで追いつかれながらも凌ぎきって2勝目を挙げて堂々とホーム日光へ帰ってきます。
そして運命の4戦目。
霧降に集まったファンの後押しの中、相手の攻撃を防ぎわずかなチャンスをものにしたアイスバックスがその時を迎えます。
スコアボードの時計が「20:00」になった瞬間、万年最下位の弱小で経営危機から抜け出せないクラブチームが優勝候補の一角で実業団チームを破って初めてプレイオフファーストラウンドを突破します。また日本リーグの頃から40年間ずっと王子製紙より上の順位にはついた事のないアイスバックスが初めて王子を上回った瞬間でした。そして私はその瞬間を目の当たりにする事が出来ました。
次の相手は昨年初のプレイオフを3連敗で終える事になったSEIBUプリンスラビッツです。こうなったら昨年のリベンジで一つでも勝利をもぎ取って再度霧降でプレイオフの試合を行なえるように声援したいと思います。

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